近未来、主流な素材となる透明メタルについて  ホヴァカー製作者クリス・ベスカー氏⑤

透明アルミニウムは、防弾ガラスの5倍の強度があり、もしこの素材が携帯等に使用されることになれば、もう表面に傷がついたり割れたりする心配はなくなります。そもそもガラスに強度を求めるには限界があり、プラスチックの一種であるポリカーボネートのほうがよほど強度があるのです。そしてその強度を上回る素材がメタルです。例を挙げれば、より高速で飛行する航空機のカノピー(画像1)には、当然ポリカーボネート以上の強度が求められます。中でも透明な金属チタンは熱に強く、我々にとって利用性の高い性質を備えていると言えます。そして我々が現在利用している、毒性の無いホウ素の複合物ですね。これは、グラファイトよりもずっと利用価値の高いものと言えます。近未来、これらを大量生産することによって、十分にコストを下げることが可能なことが研究結果で判っています。F35戦闘機のパイロットは、ヘッドアップ・デイスプレイ(画像2)の代わりにヘルメットを装着しなくてはならないのですが、小型化されてきたとはいえ、ヘルメットの機能があまりにも複雑で費用かかさむという弱点を持っています。我々は、ヘルメットという概念を排除し、むしろ航空機の機体の一部であるカノピーの精度をあげることに研究を集中させ製品化を続けています。透明なRCDテクノロジー(※1)を駆使し、カノピーの一部ではなくその全体をプロジェクターとして使用するのです。ホログラフィックデイスプレイを含む多機能型ですね。現在製作中のホヴァカーのカノピーにも、当然このテクノロジーを搭載させることになるのです。機能性ももちろんですが、と同時にユーザーフレンドリー、つまり使いやすさも追及していきます。スターウォーズの時代は、もう目の前までやってきているのです。

 

※1 RCDテクノロジーとは、残留電流デバイス(RCD)のことで、回路からの電流の「漏れ」を感知すると、電気の流れを自動的に遮断することにより、感電死や電気火災から保護するように設計されている。(6へ続く)

 

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画像1 進化を続けるカノピー

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画像2 ヘッドアップ・デイスプレイ

 

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