2013年のウクライナにおけるCIAクーデター

2016年、『Ukraine on Fire』というドキュメンタリー映画が製作された。今回のウクライナ事変を正しく理解する上で、2014年にこの国で起きたクーデターについて振り返ることは必須である。このドキュメンタリー映画は、そのクーデター周辺で起こっていたことを映像を含めてまとめたものである。映画プロデューサーのオリバー・ストーン自ら、当事者であったヤヌコヴィッチ大統領、そしてプーチン大統領をインタヴューしている内容が含まれている。以下、このドキュメンタリーフィルムのレヴューを紹介してみたいと思う。Divine Light

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映画 オリバー・ストーンによるUkraine on Fire

 

この『Ukraine on Fire』というドキュメンタリー映画は、2013年のウクライナにおけるアメリカの『カラー革命』について調査したものです。民主的に選出されたはずのウクライナ政府が、いかにしてCIAが資金提供している財団を密かに支援するネオナチグループの連合に置き換えられるに至ったか、ということについて描いているのです。この映画に出演した調査ジャーナリストのロバート・パリー氏は、米国大使館、全米民主主義基金(NED)、米国国際開発庁(USAID)などのCIAが資金提供する財団、ジョージ・ソロス率いるルネッサンス財団、そしてオランダ大使館が担った役割について、調査の内容を説明しています。 

これらの団体およびその他の米国の資金提供を受けた団体は、2005年のウクライナの最初の『カラー革命』に非常に役立ったと言えます。それは『オレンジ革命』として一般に知られているのですが、イエメン、シリア、リビアジョージア、そしてレバノンなどで起こった、CIAによって引き起こされた『カラー革命』(クーデターなど)と全く同じ特徴を示しています。

2013年、ウクライナのヴィクトル・ヤヌコビッチ大統領が、まだ未決定であったEU連合協定を拒否した直後、同様の『カラー革命』がこの国で目撃されることになるのです。ヤヌコビッチが財政支援をロシア側に求めた時、米国が支援するファシストグループはまずキエフのマイダンで平和的な抗議のキャンペーンを展開させていきました。多くの米国が後援する『カラー革命』がそうであったように、ファシストやネオナチの扇動者らは、この非暴力的で平和的な抗議を、石やこん棒、金属棒、火炎瓶、ブルドーザーを使った警察や政府当局者に対する暴力的な攻撃へと、急速にエスカレートさせていきました。

ウクライナの政府当局者らは、3人のEU欧州連合)指導者の助けを借りて野党指導者との休戦を交渉します。が、暴力的な抗議者たちはそれを尊重することを拒否したのです。ヤヌコヴィッチは、ウクライナ諜報機関から彼を暗殺するために傭兵が雇われたと知らされ、ロシアに亡命します。そして暴力的な抗議者たちは、直ちにヤヌコビッチの自宅と官公庁を占領したのです。

ヤヌコビッチを大統領から解任するという議会の提案は、68票差で否決されたにも関わらず、米国はすぐにウクライナ議会の議長を新大統領として承認します。

リークされた、ウクライナ危機の際に米国の上級外交官であったヴィクトリア・ヌーランドとの間で交わされた電話の通話内容は、2014年のクーデターへの米国の直接的な関与を決定的に裏付けています。この電話で、ヌーランドはクーデター指導者らに新政府を組成するための米国側の選択について指示していたのです。

 

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ヤヌコヴィッチ大統領とプーチン大統領

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ヴィクトリア・ヌーランド

ウラジミール・プーチン『なぜ我々がこれほどまでにNATOの拡大に激しく反応するのかわかりますか?我々は、NATOの意思決定プロセスを非常に危惧しているのです。私は、決定がどのように行われるかを知っています。NATOの加盟国になれば、それは米国の圧力に抵抗することができない、ということを意味します。そしてすぐにその加盟国には、ミサイル防衛システムや新しい基地、そして必要に応じて新しいミサイル攻撃システムが次々と出現していきます。我々はどうしたらいいでしょうか?対策が必要となります。つまり、我々を脅かしていると思われる新しい施設に対しロケットシステムを向ける対策を講じる必要が出てくるわけです。そうして状況はますます緊迫していくのです。』