ネサラ・量子金融システム この長期にわたるインターネット詐欺について ② ジョーダン・セイザー

 

今日でもこのニセの主張は、いわゆるNESARA信奉者らによってオンライン上で宣伝され続けている


『ワンネスのハト』

バーナード氏が 2000 年に 『NESARA 計画』をインターネット上に公開するや、『ワンネスのハト』と名乗るインターネット・ブロガーがそれに乗っかり、たくさんの馬鹿げた主張をバーナード氏の理論に付随させ『NESARA』を宣伝し始めたのだった。この、『ワンネスのハト』と名乗るインターネット・ブロガーは、本名をシアニ ・グッドウィンという。

シアニ・グッドウィンの NESARA にまつわる諸説は、バーナード氏が提案した元々の内容の範囲をはるかに超えていた。例えば、『2000年3月、米海軍特殊部隊は秘密の任務により、ホワイトハウスビル・クリントン大統領に対しNESARAへの署名を強要したのだったが、箝口令によりクリントンはそれについて話すことができなかった。』であるとか、『それは、 2001年9月11日に実施されることになっていたのだが、9.11同時多発テロや ブッシュのイラク侵攻によって、NESARA の実施は延期された。』等と主張し、それらをウェッブサイトへの投稿などで宣伝し始めたのだった。 

彼女はまた、IRS(米国国税庁)や所得税の廃止、そしてすべてのクレジット・カード債務の免除、フリー ・エネルギー ・テクノロジーのリリースなどのアイデアに次々と手を付けて行った。 

そしてある時点では、15,000 人もの人々が、このグッドウィンの『インテル・レポート』を購読するために、ワシントン州オリンピアの※ドロップボックスにお金を送るようになっていたのだ。

『ネサラ』の産みの親であるハーヴェイ・フランシス・バーナード氏は、2005年に亡くなる前、彼の元々の NESARA 案がこのシアニ・グッドウィンによってねじ曲げられてしまったことに気付き、『この代替の NESARA の主張は、自身の提案の信頼性を深く傷つけることを意図した偽情報キャンペーンである』と強く非難した。しかしシアニ・グッドウィンは、亡くなる2010年まで、NESARA 詐欺を実行し続けたのだった。

火に油を注いだソーシャルメディアの時代到来

シアニ・グッドウィンの死後、多くのニューエイジアセンションにまつわるブロガー等は、彼女の偽の NESARAストーリーを取り込み、『銀河コンタクト』だとか『マス・アウェイクニング』、『イントゥ ザ ライト』、『アルクイン・ブラマートン』等のウェブサイトを運営し始めた。 『銀河連邦』のETたちや『アシュター・コマンド』をチャネリングしている、と主張するインターネット上のさまざまな人々は、『エイリアンたちは、世界中でこのNESARAが実現されるのを支援するためにここにやってきているのだ』、とまで主張し始めたのだった。また、『ホワイト・ドラゴンの東アジア会』が『サンジェルマン・ワールド・トラスト』を通じて世に資金を提供し、私たちの経済的奴隷制をすべて取り除くのだ、等という主張も出現し始めた。

2011~2012年頃、目覚めの旅を始めたばかりで世間知らずだった私は、これらの不明瞭な内容が綴られたブログ内でNESARAの主張に出くわし、それらに夢中になっていった。 私は、この幻想的な NESARA 法が秘密裏に署名され、世界に展開される準備ができており、資金が無償で私たちの銀行口座に振り込まれ、フリー エネルギーのテクノロジーがホワイト・ハットたちによって魔法のように世界中にリリースされる、等という情報にすっかり夢中になってしまったのだ。

『それはいよいよ今夜発表されるでしょう!』、『いいえ、明日にも!』、『今週末にはやってくるでしょう!』等と言われ続けて1、2年経った後、私はようやくNESARAの主張の正当性に疑問を持ち始め、最終的にそれらをより深く掘り下げて調査することにしたのだった。そしてそれらが完全に根拠のない情報であるということを発見してしまったのである。幸い、当時の私はまだインターネットのインフルエンサーでも何者でもなかったので、このバカげた内容について聴衆に宣伝せずに済んだのだった。

もし仮に、軍のホワイト・ハットたちがホワイト・ハウスのクリント大統領に署名させるほどの力を持っていたのなら、何故それが制定されることがなかったのか?そして、それがもし秘密裏に署名された法律だというのなら、何故その後のブッシュ政権の 8 年間、そしてオバマ政権の 8 年間に実施されることがなかったのだろうか?そして、これらの不明瞭な内容を掲げたブロガーたちは、これらの機密扱いとされる法律の詳細を一体どのように入手しているというのか?

それについてのあまりにも多くの点が意味不明であり、インターネットのインフルエンサーによってなされたNESARAに関する主張には、多くの矛盾がありすぎるのだ。

2010 年代半ば頃になると、ソーシャル・メディアを通して陰謀論に関連する情報を共有する人たちが増え始め、いよいよNESARA の主張する範囲やウィルス性が拡大し始めたのだった。そして 2020 年代に入ると、NESARA やそれに関連する『RV通貨評価替え』および『量子金融システム』理論に関連する詐欺が、これまでにない形で誕生していったのである。

※ドロップボックスとは、事務所の通路や外に設けられた、営業時間外に手紙や小包などを安全に保管する入れ物

(3へ続く)

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