ネサラ・量子金融システム この長期にわたるインターネット詐欺について ① ジョーダン・セイザー

 

ジョーダン・セイザー氏


NESARA(ネサラ) にまつわる不正は、ニューエイジ・グループやいわゆる真実探求・陰謀論サークル内で、数十年という長期にわたって実行され続けてきた詐欺であり、 2017~2018年頃からは、新たに『量子金融システム』の出現がこれに加わり、ますます不正は膨れ上がっていった。

かくいう私も、自身の目覚めの旅が始まった2012年頃、このインターネット理論に騙された一人である。当時の 私はまだまだ若く世間知らずで、出くわすありとあらゆる種類の陰謀※クリックベイトの時流に飛び乗っていたものだ。 しかし、1年も2年も『今夜来るぞ!』いや『明日来るぞ!』はたまた『来週来るぞ!』と言われ続けた結果、私はこの理論の正当性に疑問を持ち始め、これについて深く掘り下げて調べてみようと考えるに至ったのだった。そしてその結果、これがとんだ 偽情報のふきだまりだった、ということが判ったのである。

特にここ数年、ソーシャル・ メディアの時代が到来し、陰謀論や真相究明が急速に一般的になってきたのだが、これらのクリックベイト詐欺が、完全なる詐欺と言えないまでも、明らかに名声や金が目的の、いわゆる『インフルエンサー』らによって宣伝されているのを観察するのは非常に興味深いことではあった。

今回の記事では、この、NESARA・量子金融システム 詐欺の歴史、そして推進されていった疑惑の理論に飛び込み、なぜこの理論が何十年経った今でも存在し続けているのか、考えうる動機について調べてみたい、と考えている。

これまで、どれだけの人たちが、この魔法の『NESARA法』が実施される、等という詐欺に引っかかってしまったことか。『ネサラ法』が実施され『量子金融システム』のスイッチが入れられると信じるあまり、家をデフォルト(債務不履行)にする人たちまで出現する始末なのだ。彼らは、無償でお金が提供されるという情報を信じ、請求書の支払いを辞めてしまったのだ。結果、心にかなりの心理的ダメージを負ってしまった気の毒な世間知らずの人たちもいるのである。従って、このウィルス性といってもよい『理論』を暴くことは、決して無視できない重要事項なのである。

『NESARA』の起源 について

エンジニアリングコンサルタントであったハーヴェイ・ フランシス ・バーナードは、1980 年代後半から 1990 年代前半にかけて、『 NESARA計画』を作成した。NESARA とは、『 The National Economic Security and Recovery Act 国家経済安全保障および回復法』の略である。 彼はまた、1996年に、『Draining the Swamp: Monetary and Fiscal Policy Reform』という本を著し、数千部のコピーを全国に配布し、議会のメンバー等にも郵送したのだった。

バーナード氏の理論は、現在の債務ベースの法定通貨システムは持続不可能であり、『NESARA改革』を通じて経済へのストレスを解消し、国を豊かな道へと導くことができる、というものであった。

『債務ベースの経済システムは持続不可能である』、という彼の考えは正しかった。しかしその提案を中心に政治運動を構築しようとするバーナードの試みは、結局成功しなかった。 2000 年になると、彼は自身の提案をインターネット上に公開させ、2001 年にはルイジアナ州非営利団体『NESARA研究所』を設立し (2013 年に消滅)、2005 年には、第2版となる本を著した。NESARA にまつわる詐欺やインターネットのクリックベイトは、無論バーナード氏が始めたことではない。彼は、 NESARAを提案することによって物事を変えたいと本気で願っていたのだ。しかし人々は耳を貸さなかったのである。 NESARA にまつわる詐欺やペテンは、2000 年代初頭、 バーナード氏の後、現れ始めたのだった。

※クリックベイトとは、ネット上の虚偽・誇大広告の形態の一つで、ネットユーザーの興味を引くような文面のテキストやサムネイル画像を用いてリンクを踏ませ、欺瞞的な内容のコンテンツを読ませたり、見せたり、聞かせたりするもの

 

『NESARA』の産みの親、バーナード氏の最初の本

(2へ続く)

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