トランスジェンダーはニューノーマルなのか? 最新フィルム『カット』より

 

最新ドキュメンタリーフィルム『カット』製作者 サイモン・エスラー氏

劇的に変化していった整形外科の世界

整形手術は、人間のトラウマから生まれ出たものだ。それは古代から存在してきた手法であり、4000年以上も前に顔の怪我の治療について書かれた文献が現存している。『エドウィン・スミス・パピルス』と呼ばれる古代エジプト医学書に、整形外科の最も古い手法についての記述があるのだ。1800年代後半から1900年代前半にかけて、人類の戦争の形態が急激に激化すると、整形外科はその進化において大きな飛躍を遂げていった。第一次世界大戦は、想像を絶するような傷を負った人体を出現させ、そのため整形外科医たちは空前の脚光を浴びるようになっていったのである。この頃の整形外科手術は、主に咀嚼や呼吸、歩行、そしてコミュニケーション等の、基本的な身体機能の回復を試みるために行われていた。美容目的の整形手術や初期の性転換手術の試みも、第一次・第二次世界大戦の間にわずかには行われていた。しかしそれらは、当時の医療機関にとっては一般的に眉をひそめるような行為だったのである。しかし、戦後になって何かが変わった。劇的な技術改善に伴い外科手術のリスクが軽減され、自由に消費できる収入をもった世代が出現し始めた。戦後仕事が激減していた整形手術業界全体にとって、それは新たなビジネスチャンスが到来したことを意味していた。

美容整形という全く新しい傾向

戦後の整形外科の分野におけるこの新しい傾向は、自然発生的に生成されていったのではない。独自の課題や政治的傾向を持つ中央集権的な企業メディア構造によって、『消費』のために人為的にプロデュースされていったのだった。美容整形の患者は、ほぼ独占的に女性である。2020 年のアメリカ形成外科学会(ASPS) による整形外科統計レポートによれば、すべての美容整形手術のうち 92% が女性に対して行われた、とある。そして特に2010年半ば頃から、整形手術業界は1つの急激なトレンドを産み出していく。乳房や性器の見た目を変えようとする10代の少女が急増していったのだ。少女の多くが、異形障害のためではなく、ただ単純に自分の性器がメディアで見るように左右対称でないとか、大きさ等が完全な形と一致しない、と感じるようになっていったことが原因となったのだ。殆どの女性の身体は、20代前半まで完全に成熟することはない。まだ成長過程にある身体に美容整形手術を施すことは、身体的および感情的に未発達な思春期の患者にとって害となる可能性が非常に高い。しかも思春期の若者は、メデイアのトレンドの影響を最も敏感に受ける世代でもある。にもかかわらず、警告は全く充分になされていないのだ。そしてこのトレンドは、ますます上昇傾向が続いている。 2022年8月、アメリカ形成外科学会(ASPS) は、陰唇形成術を受ける患者の最新の人口統計学の特徴について報告しているが、それによれば、『症例が最も高いのは青年期および若い女性であり、全症例のほぼ 20%が18歳未満の少女である。』とある。 何故ますます多くの10代の少女が性器を外科的に変えることを望むようになっていっているのか。この上昇傾向は、彼女等をとりまく文化の変化や思春期の『こころ』の健康状態に深く関係しているのではないのか?

 

LGBTQのシンボル、レインボーフラッグ

Z世代に急速に広がるウツ、そして増加するジェンダー手術

90年代から2000年初頭まで、うつ病は極めて一定の率を保っていた疾患であった。しかし2011年ごろから上昇を始め、アメリカのテイ―ンエイジの女子の間でその傾向は強まっていった。特にZ世代の女子の間で自傷行為が急激に増加していったのだ。携帯電話の普及により、 2010 ~ 2011 年の間に中学生がソーシャル・メディアを利用するようになったことが大きな原因の一つと考えられるのだ。ソーシャル・メデイアは、男子に比べて女子に多大な影響を与える傾向がある。彼女らは、それこそノンストップでソーシャルメデイア等を通して多くの画像と自分自身を比較しているのだ。そしてそれが彼女らに極度な混乱を生ませているのである。2016 年から2017 年の間に、米国における女性のジェンダー手術の数は 4 倍にまで増加した。ジェンダー手術全体の70%を女性が占めるようになったのだ。2018 年、英国では、ジェンダー治療を求める10 代の少女が過去10 年間で44 倍にまで増加したと報告された。ここで、あるソーシャルワーカー経験談を引用してみよう。

私は、いくつかの薬物乱用プログラムで、大人対象のプログラム、子供対象プログラム、その両方に関わったのです。子供プログラムでは、10人中3人もの子供たちがトランスジェンダーということでした。しかし大人のプログラムの中には 1 人もいなかったのです。今までそれを恥として隠れていたトランスジェンダーたちが一斉にカミングアウトし始めているというのなら、大人であれ子供であれカミングアウトする比率は同じくらいにならなければおかしいのではないでしょうか?比率があまりにも不均衡すぎるのです。明らかに子供たちは標的にされているのです。子供たちは、ハリウッドや学校、セラピー、医師など、あらゆる角度からこのマーケティングキャンペーンの影響をもろに被らされているのです。90年代は、メディアの影響を受けて豊胸手術が流行りました。 誰もがパメラ・アンダーソンのようになりたがったのです。 今のトレンドはその逆の方向へいっているのです。でも根底にあるものは同じですよね。自分の身体に心地よさを感じていないという。 現在、より多くのソーシャルメディアの存在により、それはますます複雑化しているのです。

『トランス』から『ディトランス(脱トランス)』へ

※ディトランジション・コミュニティ界隈で、声を上げられる親たちはほとんど存在しない。彼らは、攻撃されることを恐れているのだ。彼らは、あらゆる理由があって沈黙しているのだが、子供を護るためにも沈黙しているのだ。子供たちは、『ディトランジション』という非常にトラウマ的なプロセスを経なければならない。これまで自分がしてきたことに気づきそして悔いるという難しいプロセスを踏まなければならないのだ。トランスジェンダーイデオロギーは、脆弱な子供、自閉症の子供、特別なニーズのある子供、おそらく反社会的であり社会的能力を持っていない子供たちを特にターゲットにしているのだ。トランスジェンダーイデオロギーが、社会全体を圧倒しているのだ。特に若い女の子、9歳から12歳の年齢層をターゲットにしているのである。親に対してさえ、あらゆる操作戦術があり、それは感情的な恐喝ともいえるものである。これは医療機関によって推進されていることなのだ。エンターテイメントによっても推進されていることなのだ。 トップダウンの教育システムでも推進されていることなのだ。連邦政府によっても推進されていることなのだ。社会全体に影響を与えているすべての主要な機関からこのイデオロギーが一斉に向けられている時に、一体12歳の幼い子供やその親がこのイデオロギーと戦うことなどできるだろうか?我々は、この戦いが実際にどのようなものであるかをまず認識しなければならない。そうしなければ、効果的に物事を変えたり、方向転換したりすることは出来ないのである。さまざまな組織とのパートナーシップや連合の構築、およびそれらについて学習していくと、実に多くの情報について深く掘り下げていくことになるのだが、その情報の一つは『人身売買の世界には深い闇の底がある』、ということである。その闇とは、人身売買に関わる加害者たちは、トランスジェンダーの子供らに、より多くのお金を払っている、という事実なのである。

最後にデイストランジションの過程にいるある女性の訴えを引用してみよう。

私が若い頃に経験したホルモンや手術を他の誰かが処方されないことを願っています。自分の身体を疎ましく感じる、という精神障害がたくさんあります。でも身体を変えても何も変わりはしません。脳の中を修正しなければ何も変わらないのです。私は、声を失い乳房を失いこの先子供を産めるかどうかもわかりません。愛される資格さえないように感じます。このように身体を台無しにしてしまったのですから。トランスメディカルや医師たちは、最も脆弱な子供たちをターゲットにしているのです。 私は、『境界性人格障害』を持っていて、幸せな女の子ではありませんでした。ただ女の子として幸せでない、という理由で私は男の子だ、トランスだ、ということにされてしまったのです。

※ディトランジションとは、社会的、法律的、または医学的手段によるトランスジェンダーの識別または性転換の停止または逆転

 

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